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市政報告
天皇陛下御即位二十年
母谷の発言
 
【 秋葉市政2期8年を振り返って 】
この物語は今から8年前にさかのぼります。
平成10年9月21日、それは突然やってきたのであります。
平岡 敬前市長の3選不出馬宣言です。
平成6年に衆議院の選挙制度が大きく改正され、平成8年の衆議院総選挙ではそれまでの中選挙区制から小選挙区比例代表並立制へ移行する初めての総選挙が実施されました。
小選挙区では僅か一人しか当選することのできないこの制度で勝ち抜くには大変な困難を伴うばかりか比例代表でもその得票率や惜敗率によって復活当選するための厳しさは、当時の貴方から見ればかなりの危険が伴うことだったのと誰かの後塵を拝することはプライドが許さなかったに違いありません。
そんな折りも折り、次期衆議院解散を念頭に、思案に暮れていた貴方に吉報が飛び込んだのはちょうどその頃でした。
「平岡市長3選不出馬!」 「えっ! ウッソー。」誰もが耳と目を疑いたくなるようなテレビの映像や新聞の活字があちこちで躍っていました。
このウソのような報道の信憑性を確かめた貴方は 「これだ、これしかない!」
貴方の心は即座に決まりました。
次の衆議院解散を待たず広島市長選挙に立候補しようと・・・
あまりにもタイミングが良すぎて貴方は笑いが止まらなかったかもしれません。
そして迎えた市長選挙本番。14日間の選挙戦を戦い抜いて平成11年2月1日あなたの目論見はまんまと当たり当選が確定しました。
その後、前市長の任期満了を待って翌日2月23日、貴方は正式に第33代の広島市長に就任されました。
その結果、貴方にとっての幸せがここから始まり、市民にとっての不幸はここから始まったのであります。
来年2月22日は前市長同様、貴方にとって2回目の任期満了が近づいています。貴方の次期市長選挙への立候補は現時点で正式に表明されておりませんが、どうやら90日特例と呼ばれる公職選挙法第34条の2を摘要して昭和46年の山田節男市長2期目当選以来、実に36年ぶりとなる市長選挙と市議会議員選挙が同じ日に行われそうです。
今後は兎も角としてこうした中、秋葉市政2期8年がもうすぐ幕を下ろそうとしています。
 そこで貴方の市政運営について少しふりかえってみましょう。
まず最初に女性助役の登用問題です。
これは平成14年の第1回定例会、第2回定例会に続いて貴方自身2回目の市長選挙を直前にした平成15年第1回定例会において、いずれも同じ内容で3度提案をされ、全て否決という結果に終わりました。
このことは議会との信頼関係を損なったばかりでなく、後々の市政運営にも大きく影響を及ぼしました。結局、貴方はこの議案で議会を悪者に仕立て上げ、自らの市長選挙を有利に進めるための演出に利用しただけであり、それに気が付かない市民を翻弄し愚弄したのであります。さらに自ら就任を要請した助役2人を解任し、大きな犠牲を伴ったこの議案は市政を混乱させただけで貴方の保身に利用した以外何の意味も無く、市民にとっても全く無益だったと言うほかありません。
 また、同じ平成14年度末には国道2号線観音高架延伸工事に付いた国の予算を貴方はいとも簡単に返上してしまいました。続く平成15年度でも同様の行為を繰り返し、議会の努力と行政当局の努力は木っ端微塵に吹き飛んでしまいました。
これには流石の国土交通省も大激怒し、以後同省との折衝はどの案件においてもことごとく摩擦を起こし、信頼関係を欠いたまま今日に至っています。
当然ながらこの内容は国土交通省だけに留まらず政府関係者、全省庁に対して当時から有名な話として今日に伝わっています。
「地方はみんな国からの予算を取って何とか事業を進めようとしているが、広島の市長は予算を返上してきたぞ。広島市に予算をつけても返上されるんだから今後、その必要は無いね。秋葉さんが市長のうちは無理だな。」というのが各省庁の広島市に対する見方であり、この八方塞りの状態は広島市民にとって大変な損失であると同時に甚だ不幸な状態にあることだけは確かなようです。 
その後、2期目の当選を果たした貴方がこの年の12月に発表されたことは、それまでチーム・エンティアムで進めてきた貨物ヤード跡地の新球場建設を断念するというものでした。貴方はそれを「チーム・エンティアムの核企業である大手商業デベロッパーのサイモンプロパティが自社の都合で撤退したから我々は裏切られた」と記者会見で述べられました。
しかし実際は本当にそうだったのでしょうか?
平成12年から議会で始まった貨物ヤード跡地の活用策は平成14年、相対的に最も優れた提案で実現可能性が高いという理由からエンティアム案が選ばれましたが、その後も屋根架けの問題や公費負担の問題で曲折し、このプロジェクトの議論で広島市の態度はいつまで経っても煮え切らず、これに業を煮やしたサイモンはこれ以上の引き伸ばしは経営戦略上の損失と判断し、サッサと見切りをつけて遂に撤退を決断したのであります。
秋葉市長は記者会見で『我々は裏切られた』と言われましたが、実はサイモンから逆に三行半を突きつけられたか逆に断念するよう仕向けたのではなかったのでしょうか。
さらに言えば貴方の本当の心は2回目の市長選挙を前に女性助役問題同様、選挙戦を有利に戦うためのアドバンテージだったのではないかと私は考えております。
それが証拠にこの問題で「法的措置を検討する」と言いながら今日までそのようなことは一斉無いことが真実を物語っています。契約書や覚書といった法的根拠となる書面をエンティアムと交わしていなかったことが、後に増井議員の質問で明らかになっています。
それまでに散々議論してきたことは一体何だったのかという思いになりましたが、貴方の本当の心が読めたとき「はぁ~流石だなぁ。頭がいいわ。」と感心する一方で秋葉市長に対する不信感はさらに増大したのであります。
 続いて平成16年には広島高速道路公社に対する広島市の出資・貸付金が高速道路整備プログラムの見直しを理由に当初予算案へ計上されなかったことが発端で県市足並みの揃わないゴタゴタが続き、当該年度の整備に多大な支障を及ぼしました。
挙句の果てには太田川渡河部を都市計画決定どおり沈埋トンネル工法で整備するということを広島市の方針として前日まで決定しておきながら、藤田広島県知事とのトップ会談では「再検討する」と発言し、実質的に橋梁案への方針転換を表明しました。それまで広島市の方針として沈埋トンネル工法で纏め上げてきた事務方トップである当時の道路交通局長は貴方の一存で方針転換したことが原因により責任を取る形で辞職しました。
遂に3人目の犠牲者が出てしまったのであります。
 また、平成17年度当初予算では介護保険料の見直しが大いに議論され、秋葉市長は65歳以上の基準額3,887円を983円引き上げて4,870円にする改正案を提案されました。
それでなくても広島市の介護保険料は政令市の中で日本一高い保険料設定となっているのにさらに最高額を更新する内容は議会としてどうしても認めるわけにはいきませんでした。結局議会の努力によって給付額の10億円圧縮と引き上げ幅を899円とすることで可決しましたが、それでも4,786円という高額な保険料になりました。その主な原因は介護認定の甘さが給付額の増大を引き起こし、介護事業者の請求事務にも多大な不備があるなど貴方の介護保険事業は全くの放漫な運営がもたらした結果であり、そのことが日本一高い介護保険料を市民に支払わせている要因になっているという事を素直に詫びるべきであります。
市民に対する説明は全く不十分というほかなく貴方の無責任な市政運営の一端が顕著に表れている一例だと思います。
 最近では平成17年秋、広島地下街開発株式会社が昨年の中間決算で減損会計の適用を受けて債務超過に陥りました。その結果、173億円にも上る損失補償を広島市が負うことになり、長期にわたる債務負担行為は市民に対するリスクとして覆いかぶさっています。本年第1回定例会でこの議案の提案を受けた議会は、否決すれば即倒産、可決すれば銀行の協力は得られるが返済期間が長く市民の負担とリスクが大きいということと店舗構成など市民ニーズにマッチしていない等問題点のある中で、二者択一、イエスかノーを求められた議会は断腸の思いで決断し、これを可決しました。それは経営体制の刷新と経営再建に賭ける情熱と責任感、良心に期待したからであります。
 しかしながら改善スキームとは単なる借金返済計画であり、累積赤字を解消するなど魅力ある商業施設に生まれ変わる抜本的経営改善策となっていないばかりか、その後の社長人事を見ても市役所OBを登用するなど真剣に再建するための意欲は全く感じられませんでしたし、先日行われた経営状況報告会の内容でも同様に受け止めたわけであります。
 また、広島高速交通株式会社においても本年度、債務超過に陥り、その経営が危ぶまれております。こちらも同社独自の抜本的経営改善策は未だに示されず、平成15年度からは広島市の単年度無利子貸付を10年間行うことになっています。
当初205億円から始まった貸付金は毎年5億円減額して今年度は190億円になっていますが、歳計現金を利用したこの方法は市民に多くの苦痛とリスクを背負わせています。
 広島駅南口開発株式会社も併せ、これらは皆第3セクターとして経営しているのであり、全国でその失敗例が数多く報道されております。
手遅れにならない内に3セクからの脱却を早急に図るか、専門家集団の経営体制を確立するか早めに手を打たなければ失敗のツケは必ず市民に回ることになります。
経営状況の厳しいこの3法人をこれ以上放置することは絶対に許されることではありません。今後は貴方の責任においてこれらの会社を再建し、健全に経営する必要があります。そして貴方の提案した政策が正しいという事を今後において証明し続けていかなければならないのであります。
そういう意味ではこれから先、貴方がどのような立場になろうともこの呪縛から逃れられるという事は絶対にできないという事を自覚しておくことも必要であります。
後々最悪の事態が起こったとき、「責任を取って辞めます」では済まされない重大な提案を貴方はしたという事を胸に刻んでおいてください。

 少し話を変えましょう。
私が調査したところによると貴方は平成11年の市長就任以来、この8年間で23回の海外出張に出かけられております。
日数は合わせて203日、渡航費用は21,043,215円(事業費は除く)となっておりますが公務の前後に組み入れたプライベートな日数を含めるとさらに多くの市長不在という事態が広島市にあったことになります。
1期目の9回に比べ2期目は14回と格段に増加しています。
1年に2回ペースだった1期目から1年に3回というペースになった2期目の最終年の今年は特に多く5回となっております。
平成15年度前半には経済交流ミッションと称して特に自動車関連企業とのトップセールスを韓国やイタリア、ドイツで展開し、秋葉市長の肝煎りで設立した自動車デザインの株式会社ハイベック問題ではキナ臭さだけを残して有耶無耶になってしまいました。
その後、この会社は順調に成長を続けているようですが、17年度決算では年商7億8千4百万円を売り上げる企業へと成長し、今年度は12億5千万円を見込んでいるそうです。広島市にも流通団地や市が関わった造成地はたくさんあるのに、何故か今年11月、
東広島市に開発拠点のデザインセンターを完成させてしまいました。
市長さん自らが汗を掻いたにも拘らず誠に不可解なことであります。
財政非常事態宣言を発した平成15年の後半以降も貴方の出張はその殆どが平和活動と称するもののようですが、巷では「世界的知名度のある広島市の市長というネームバリューを利用した次の就職活動ではないのか」という失礼な噂まであります。
また、私の認識不足かもしれませんが、これほどの日数と費用を費やした割にはそれほどの成果があったとは感じられず、この出張が広島市民の多くにとって本当に有益であったのかどうか。また、市民が今どうしても求めていたことなのかどうか甚だ疑問に思っております。
それよりも先に『山積する懸案事項は山ほどあるのだからその解決に向けて真剣に取り組んで欲しい』という意見や『不景気を吹き飛ばすような景気対策をやってくれたらいいのに』という意見は大変多かったように私は受け止めております。
しかしながら市民の期待とは裏腹に諸問題の解決は全てが先送り状態で未解決のままとなっており、年間5,200~300億円の一般会計予算を編成・執行しながらお金が無い、お金が無いを連発し、市民の声に耳を傾けていない今の現実は如何なものかと考えております。
予算というものはお金があるとか無いとかという問題よりも、何かをやるか、やらないかだと思います。そうした点で貴方と私では考え方に大きな違いがあるようですが、対症療法ではなく、公共の利益を実現するという究極の目的を果たすため、思想に基づいた強い信念が必要でありますが、秋葉市長の考え方と手法は議会とどうも波長が合っていないように感じています。
 次に貴方が市長に就任した平成11年以降、広島市職員の不祥事も後を断ちません。秋葉市長の人事評価に対する職員の不満をはじめとする市政運営全般において市役所内部に鬱憤が充満しており、組織としてのタガは完全に緩みっぱなしと言っても過言ではありません。こうしたことは職員の労働意欲に直結しており、「チーム・広島市の総合力は相当に落ちている」というのが一般的な見方です。
いわゆる面従腹背やイエスマンが横行し、何が正しいのか、誰を信じればいいのか解らなくなってフラストレーションが溜まった結果、普通では考えられないようなことが起きているのだと思います。
こうした行政力の低下はとりもなおさず市民に対する行政サービスの低下であり由々しき問題でありますが、それを裏付けるかのように職員の懲戒処分が頻繁に行われています。
これを数字でご紹介しますと平成11年以降、秋葉政権下で今日まで免職22人、停職21人、戒告13人、減給19人となっております。この数字が多いか少ないかは皆さんの判断にお任せするとしても現実に地方公務員法第33条に定められた信用失墜行為の禁止に違反して処分された人達がこれだけいるのです。
この他にも逮捕されながら未だ裁判中で処分の決まっていない人、逮捕により依願退職した人、書類送検された人などを含めると不祥事の件数はさらに膨らみます。これで本当に組織として成り立っていると言えるのでしょうか?
公僕とは名ばかりで一生懸命頑張ろうとしても貴方の市政運営や人事評価に疑問を感じ、その挙句に悩み苦しみ抜いて集中力を欠いた結果がこうした自覚の無さとなって表れているのという見方があります。
最近では競輪事務局において開設50周年記念競輪の開催にあたり、全国競輪施行者協議会からの助成金を騙し取ったとして4人が書類送検されていますが、「調査中」を理由に何ら公表もされず説明もありません。市民の秋葉市政に対する不信は募るばかりであります。
表向きなことについて「政治は言葉です」と仰っていくら耳障りの良い言葉で飾りたてても人間には隠せないものがあります。そうしたことがこのような現象としてしっかりと表れています。
同様に表向きの格好を特に気にする貴方の性格は財政運営にも表れています。
それはプライマリーバランス、いわゆる基礎的財政収支についてでありますが、
黒字というその言葉と響きを強調したがる点についてです。
勿論プライマリーバランスは黒字が良いか、赤字が良いかと言えば黒字が良いに決まっていますから、それ自体を否定するものではありません。
 ただし、起債によって資金調達した市債と償還する公債費はこの数字には入りませんから市債残高をキチンと管理する必要があります。
全会計で市長就任当時の平成11年度末で1兆5千300億9千1百万円だった市債残高は17年度決算では1兆6千986億9千1百万円となっており、1,686億円増加しています。国が今年度から導入した自治体の財政健全度を示す実質公債費比率では21.1%と高水準に位置し、起債制限団体となる25%を超えない努力が必要ですが、プライマリーバランスの黒字という言葉だけに惑わされないようにすることも大事なことであります。
 秋葉市長就任以来、今日まで提案された議案のうち否決が11件、修正可決が13件となっています。これは歴代市長と議会の関係において異常と言わざるを得ない状況であると思いますが、強大な権限を持つ市長に対し、議会がその横暴を許さず機能と責任を果たしてきた結果であり、今後においてもこの自覚は寸分たりとも揺らぐものではありません。
今定例会では財政健全化に一定の目途がついたとして一般職の給与削減率を0.5%引き下げる条例案を提案されておりますが、今回、特別職については据え置かれているという点に敬意を表する一方で議会は給与削減ではなく議員定数削減というさらに厳しい道を選択していることからみれば当然との気持ちもあります。
 秋葉市長は先日、1期毎に支給される自らの退職金の算定基礎となる在職月数について従前の49ヶ月から48ヶ月へ変更する旨発表されました。
この時点での総支給額はこれまでよりも78万6千円少ない4千2百96万8千円となっており、この改正が全国的な流れとは言え、こちらも市民感情と財政再建の先頭に立つ立場を十分に考慮された英断であると高い評価をしているところでありますが、算定の基礎となるもう一方の基準月額は本来の給与額で算定されるのか、それとも削減率15%を課した現在の給与額で算定されるのか、お尋ねいたします。
ここまで秋葉市長に対する私の所感を事例に基づきその一部述べて参りました。
我々の職務では法律、条令、規則を順守することは当然のことでありますが、その手法を一歩間違うと市民不在の覇権主義になり、本来の政治とはかけ離れたものになると思います。
求められるべきことは政策の立案、法令等の運用、解釈、実行段階で『本当に市民のためになっているのか』、『市民の喜びや幸せに少しでも応えているのだろうか』、という事を常に自問自答し、愛情に満ち溢れた眼差しを市民に差し向けることが大事ではないのかと指摘させていただきたいのです。
私は何も大衆迎合主義の政治が良いと言っているのではありません。
原理原則を貫くあまり、その陰で犠牲となる人たちを切り捨てるやり方はあまり誉められたものではないと思います。
それはナルシストと呼ばれる独裁政治であり、単なる自己満足を満たすものとして、あちこちで悪政と囁かれているに違いないと想像するのであります。
いずれにしても秋葉市政2期8年がもうすぐ幕を下ろそうと しています。
その評価は約90万人の有権者に委ねられることになりますが、
広島市長という立場の人には、厳しさの中にも血の通った温かさとやさしさを兼ね備えた政治を求めたいと思います。
宿命である広島平和記念都市を完成することと国際平和文化都市の実現に向けて、
先達がそうであったように私たちもタスキを繋ないでいかなければなりません。
広島市政、斯くあることを願って私の質問を終わります。


 この原稿は平成18年第6回・12月定例会で12月12日に行われた一般質問の内容です。
私も2期目の任期満了を間近に控え、悔いの無いよう自分自身、思いの長をぶつけたものです。皆さんのご批判を賜りたいと思います。    母谷龍典  拝


2006年12月27日